「恋の始まり  谷川俊太郎」より


あなたのことを絶えず考えているのに
あなたの顔がどうしても思い出せない
気がついてみるとふと耳にした音楽の一節を
くり返しくり返し口ずさんでいるのだ
あなたに会いたいと思うのだが
それは情熱というよりむしろ好奇心で
自分がいったいどうなっているのか
もういちどあなたの前でたしかめたいのだ