Don't know why

  前の日の 続きです


茶店を出て、あてどなく町の中を走る彼の車。
「雪だね」
「どっかいこうか。あたたかいベッドのある場所」
「それだけはや」
「なにもしないから」
「ちょっと‥納得いかないことがあって。」
「納得できないことって何?」
近くの市役所の駐車場へ、車を滑り込ませました。


「この前の大晦日の日に家の近所まできて突然降ろされて家まで送ってもらえなかったこととか‥」
「あれはちょっと歩くのに丁度いい距離だと思ったからあそこでおろしたのであって」
「それ全然意味わからないよ。普通に友達だって、わたしなら家まで送るよ? それがあんなところで降ろされて。大事にされてないと思った」
「だって近所の人とかに見られたらいやじゃない?」(これが彼の本音かな)
「全然いやじゃないけど」


「あと、クリスマスとこのあいだ正月のこと。結局伸び伸びでできなかったじゃない。
「うーん俺予定を決められるの苦手で‥決められると束縛されると感じてしまって。‥‥‥それよりホテル行かない?」
「やだ」(やっぱそーくるか)
「手つないでいい?」
「やだ」
手をつないでしまったら私の決意は簡単に崩れてしまう。かもしれない。
「あとは勤務表をみてくれないこと。あなたが誘ってくるのはいつも当直中だよね」
「あれ見方が分からないから。教えてもらってもよくわからない。だいたい俺は自分のことだけで精一杯で人のスケジュールを把握する趣味なんてないんだよ。(ややキレ気味)それにあんな個人情報の書かれたもの他人に渡すのよくないよ。」
「そうなんだね‥ダメだわ‥」


彼が一言発する度、頭の中がグルグル‥‥彼は弁がたつから、もっともらしいことを言っているようにきこえるけれど、なんか丸め込まれているように感じてしまうのだ。
「でも今回のことは反省してるし。改善するよう努力するから」
「ごめんなさい。」
「どういうこと?」
「ごめんなさい。もうできないし、もう会えない。ごめんなさい」
「どうすればいい?」
「帰りたいから待ち合わせの場所まで乗せてって」


別れまでの所用時間は約二時間‥あっけない別れでした。