エンゼルケア

いわゆる「死後の処置」のこと。


末期の胃癌のおばあちゃんがいて
一昨日くらいまで「お水ちょうだい」などと言っていたものだが
ウトウトしている間には、苦しいのか、痛みからか、
「うう〜」と一日のほぼ3分の2くらいは唸っていた。


昨日からモルヒネの量がふえ、夕方にはうなり声さえ聞こえなくなってた。
「おみず飲むかい?」と声をかけても、
名前を呼んでも、ゆさぶっても、眼も開けなかった。
貧血も進んできて、今朝輸血をして。
でも。もうあぶないかもしれない、ということで家族の方を呼んで・・
心電図の波形は不整がすすみ、それから、フラットへ・・
呼吸も徐々になくなった。
13時、死亡確認された。


二人のナースで、身体についていた
心電図モニターや点滴など無駄なものをはずし、清拭する。
1人のナースが綿を詰めている間、わたしは化粧をした。
おちついた色の口紅とほほ紅を指で薄くのばして。
不謹慎にも、普段自分がナチュラルメイクなのが生かされたなあと思った。


家族の方が何人か来た。
女性二人と、男性は4人くらい、あと某介護会社の若いヘルパーさん。
ヘルパーさんが一番、泣いてた・・
男衆は廊下で談笑。
女性の方たちは枕もとで、思い出話をしていた。


看護婦たちもナースステーションにて。
こんなふうになるとはね。半年前、入院したころにはご飯も食べていたんだよね・・


入って一週間とそこらで、半年前のこの人のことをわたしは知らないけれど、
同じ日々がずっと続いていくのかと思ったら大違いで、
徐々に死が近づいていたことを思うと、切ない。